追い剥ぎ

よくお客様から質問を受けることが「どの順番でおすしを食べればいいか?」ということ。

うちの店では「お客様の好きなようにお召し上がりいただければ、それで良い」と思っている。
TVや雑誌などでいろいろ言われているようだが、うちはもともと屋台で始まった店、
そんな上等なルールなんて要らないと思う。
崩れやすい白子(ポン酢がかかっている為)などは早く召し上がった方が良いが、
それ以外、食べる順番はその人の好みでOK!

それよりも気になることは「追い剥ぎ」である。
追い剥ぎとは握ったおすしのタネだけをベロ〜ンとはがして食べること。
実はこれ板前が最も嫌う食べ方なのである。

もともと手で握ったものであるので、手で食べるのはOKなのだが、
今は99%のお客様がお箸をお使いになる。
それはそれで良いと私は思うのだが、
この箸を使い始めて追い剥ぎと言う食べ方も急に多くなったのではないか?
お箸は日本食とは切っても切れないもの。

でも、おすしにとってはクセモノなのである。
追い剥ぎもそうだが、一貫のおすしをお箸で割って食べようとしたり、
ぐじょぐじょにくずしてしまったり、正直、悲しくなることがある。
食べ方なんてお客様の自由なんて最初に言っておきながら、
このことをホームページに書くことには私自身ちょっと悩んだ。
うちの店でもお客様に直接このことについて言うことはない。
基本的にはお客様がおいしいと思ってくれればいいから。
ただ、今流行のうんちくのひとつとして追い剥ぎというのを、
頭の隅にでも置いておいてくれたら、
どこのすし屋に行ってもスマートにお鮨が召し上がれるのではないでしょうか?

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